電気代の行方2 [原子力発電のこれから2]

九州電力資本推移:九州電力ホームページより転載

九州電力資本推移

「九州電力電気料金値上げ」 http://www.kyuden.co.jp/rate_application_business.html

前回は先行して許認可を申請した原子炉10基について紹介しました。
ところでその後九州電力の玄海3,4号原子炉(佐賀県)が7月12日に申請を行ったので、現在12基が申請をしている状況です。
現状では概ね、記事を書いた時の判断から外れていないので、その結果今後何が起こるかを想定していきます。
まず、現在の電力料金の値上げ状況を時系列に見てみます。

東京電力高圧 24年4月1日から   2.61円要請 → 2.36円値上げ(24年9月1日以降☆)
東京電力低圧 24年9月1日から、平均10.28%申請 → 平均8.46%値上げ

関西電力高圧 25年4月1日から   2.72円要請 → 2.44円値上げ(25年5月1日以降☆)
関西電力低圧 25年5月1日から、平均11.88%申請 → 平均9.75%値上げ

九州電力高圧 25年4月1日から1.65円(平均14.22%,★)要請 → 1.34円(平均11.94%)値上げ(25年5月1日以降☆)
九州電力低圧 25年5月1日から、平均8.51%申請 → 平均6.23%値上げ

四国電力高圧 25年7月1日から2.44円(平均17.5%,★)要請 → 9月以降調整へ
四国電力低圧 25年9月1日?から、平均10.94%申請 → 審査中

東北電力高圧 25年7月1日から2.68円(平均17.74%,★)要請 → 9月以降調整へ
東北電力低圧 25年9月1日?から、平均11.41%申請 → 審査中

北海道電力高圧 25年9月1日から2.07円(平均13.46%,★)要請 → 9月以降調整へ
北海道電力低圧 25年9月1日?から、平均10.20%申請 → 審査中

☆ → 事後調整済み 、 ★ → 特高含む平均

本来値上げ幅の評価は物件の大きさや使い方などのモデルに当てはめないと出来ないのですが、とりあえず公表されているデータ分をまとめたのが以上です。

これらの値上げ申請では、その上げ幅を決めるために、実は
いくつかの原発が早期稼働していることを前提としています。(計算に入っています。)

値上げ幅は値上げ後の3年間の原発稼働計画に基づき、決められているのですが、
その最初の1,2年の今年中に非常に大きな問題が出てきます。
それは、電力会社にお金が残っていないということです。本来は3年のうちに順次計画を進めれば電力会社の赤字は止めれるのですが、(そういう基準で価格が算定されている。)その3年が待てない電力会社があるのです。
これは各電力ごとに見て行かないといけないのですが、例えば九州電力の状況を見てみましょう。

本記事の冒頭のグラフは九州電力の値上げ説明に含まれた資本推移の資料です。
これによると、地震以降の2年間で資本金が9,800億円 → 3,900億円に減っていることがわかります。そのため、債務超過にまで600億の余裕しか無いことがわかります。
そのため、予想される毎年の赤字を埋める分だけの値上げ(1,516億円/年 → 高圧1.65円,及び低圧平均8.51%)を申請及び決定していますが、もし燃料費が増えることで経費が増えれば、期末(14年3月末)には債務超過の危険性が出てきます。その場合、燃料の購入に信用上の支障が出てきますので、どうしても現金の手配が必要となります。

九州電力が経済産業省に届出している関連資料 電気料金審査専門小委員会第12回(24年12月12日配布資料4-2) P22-26 http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denkiryokin/pdf/012_04_02.pdf

によると、3年間原発が全く稼働しない場合、平均すると3,425億円の追加費用がかかるために、5.6円(35%,高圧低圧の区別が無い場合)程度の再値上げが必要となります。もし低圧高圧の上げ幅を変えると、高圧3.73円(32%),低圧19.23%の追加値上げとなります。(値上げ前基準)
そのため、4月の値上げ前から合計すると、許可時の削減を含めて、高圧 1.34 + 3.73 = 5.07円 ,低圧 6.23 + 19.2 = 25.46% の上げ幅となります。

九州電力の再値上げ時期、金額の予想

又、今季は無理で来季から再稼働するとすると、今季には約2,000億円程度の燃料費の追加が必要と想定できるため(独自推定、概算)、3.3円(20%)程度の再値上げが必要です。

もし低圧高圧の上げ幅を変えると、高圧2.18円(18.8%),低圧11.23%の追加値上げとなります。(値上げ前基準)
そのため、4月の値上げ前から合計すると、許可時の削減を含めて、高圧 1.34 + 2.18 = 3.52円 ,低圧 6.23 + 11.23 = 17.46% の上げ幅となります。

為替による燃料費の変動については、燃料費調整の範囲ですが、実際には円安により、燃料調整費も追加してあがる可能性があります。
つまり政府が資本注入をするなど、政治的な理由で変動する可能性はありますが、毎月200億弱の追加の燃料費がかかっているため、このまま行くと8月か9月に再び大幅な再値上げとなります。
ちなみに、この10年位は傾向として電気代は大きく下がっているのですが、中長期の価格の傾向(3年以上先)は別の機会に検討します。
又、今回は原発停止の影響の代表例として、まず九州電力について検討しましたが、次は関西電力について検討していきます。

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